燕岳 2763m 合戦尾根
2007年3月 庚戌日
燕岳 2763m 晴れ
メンバー アニ(単独)
05:53 宮城ゲート
08:39 中房温泉
12:06 合戦小屋
13:35 燕山荘
14:05 燕岳
15:09 ドロップイン
16:57 中房温泉
19:21 宮城ゲート
表銀座にあり奇岩でも知られる燕岳、夏や正月には多くの人が訪れるがこの時期なら静かな登山が楽しめるはずである。山スキーの記録は少ないがあえて目指してみた。
夜中に宮城ゲートに到着。雪がまったくない、MTBを持ってこなかったことを激しく後悔するが後の祭りだ。行程を考えるとすぐに歩き出してもいい位だが、一睡もしないのは辛い。いつものように車内で仮眠。
4時半過ぎに起床、食欲はなかったがカップ麺とおにぎりを流し込む。無理にでも食べないと体が持たない。12km先の中房温泉に向け歩き始めたときにはまだ暗かったが、やがてモルゲンロートに稜線が浮かび上がった。
最初からシール歩行のつもりでいただけに、板と兼用靴を背負わなければならないのはショックである。ずしりとザックが肩にくいこむ。2つ目の発電所をすぎて少しした所で、ドリカム編成のパーティとすれ違った。挨拶だけして先を急ぐ、大学生だろうか。
ようやく登山口の中房温泉に到着。ペットボトルとおにぎりをデポし、兼用靴に履き替えた。第一ベンチまで急登が続く、北面のため雪面が堅い。アイゼンが欲しい所もあったがそのまま登りきる。第一ベンチで一本取りシール歩行開始。しかしトレースを使うには急で、ジグを切るには狭く効率が悪い。結局2200m付近からツボ足で登ることにした。トレースを使わせてもらったが結構もぐる。合戦小屋から再びシール歩行にする。やや重い雪ですね位のラッセルである。
森林限界が近くなると稜線の向こうに槍の穂先が見えた。そこからさらに1時間、山荘直下に板をデポ。雪壁を登り、燕山荘をまわり込むと表銀座から裏銀座まで一大パノラマである。
久しぶりに花崗岩の感触を試してみる、このザラザラ感がたまらない。すでに2時を過ぎのんびりしている余裕はない。
デポに戻り滑降の準備をする、雪が重いので最初からNOTwaxを塗布した。いよいよ松本平に向ってドロップイン。
目まぐるしく雪質が変わるので慎重に対応していく。あっという間に2489mピークから疎林のすばらしい斜面に滑り込む。しかし思うように板をコントロールできないまま合戦小屋まで下ってしまう。ここで再びNOTwaxを塗布、実質滑りを楽しめるのはここまである。私には樹林が濃すぎる、キックターンも使いながら安全第一である。1950m付近で板を背負って歩くことにした。
水を飲みきってしまうが、足下に中房温泉の赤い屋根が見えてきた、これで一安心。中房温泉で大休止、おにぎりを食べハイドレーションに水を補給する。ジョギングシューズに履き替えたら、残り12kmの林道歩きの始まりだ。“さんぽ”を歌いながらどんどん行こう。
日はすっかり暮れてしまい、真っ暗な中ヘッドランプの光を頼りに歩いていると雪がチラチラし始めた。
アニ 記