蝶ヶ岳(2664m)

北アルプス


2007年4月 己卯 日

蝶ヶ岳(2664m) 晴れ

メンバー アニ
04:51 鳥川林道ゲート
06:33 三俣
13:14 蝶ヶ岳ヒュッテ
13:55 蝶ヶ岳(蝶槍2664m)
14:50 ドロップイン
16:51 三俣
17:22 鳥川林道ゲート

前夜“ほりでーゆ”先のゲート脇に車を止め車中泊。4時少し前に起床、まだ真っ暗だ。外に出て準備をしていると1台の車がやって来た。登山者かと思ったら釣り師であった。同じように車から自転車を降ろしている。挨拶をして一足先に出発した。


今回も行程が長い。押したり漕いだりしながら、まずは9km先の三俣を目指す。三俣にMTBをデポ、登山はここからだというのにすでにグッタリしている。トレランシューズで歩き始める。本沢を右岸に渡り1630m付近からスキーで歩くことにする。蝶沢右岸の尾根をどんどん登っていく。やがて2200mで蝶沢を横断、雪崩の通り道になっている様で荒れている。さっさと通過するに限る。


ここからトラバース気味に登って行く。しかし傾斜のある斜面に新雪が積もっているためラッセルがきつい。木立の切れた所をトラバースしている時だった、「バスッ!」という音がした。シマッタと思った時には、頭を下にして雪崩に流されていた。新雪の下はガリガリのハードバーンで、ものすごい勢いで落ちていき、立ち木に激突して停止した。幸いザックからぶつかったため怪我はなかった。立ち上がると足が震えた。今自分のいるこの北斜面は、かなりナーバスであると身をもって知った。アイゼン歩行でひたすら直登していくことにする。

※写真上部、帯状の影が破断面。


稜線に出ると視界が広がる。蝶ヶ岳ヒュッテでは、スタッフが営業に向けて作業を進めていた。


板とザックをデポさせてもらい、蝶槍まで足をのばすことにする。槍・穂高、先週登った常念岳、パノラマを楽しんだらお待ちかねの時間である。


ヒュッテでデポを回収、そのまま長塀ノ頭直下まで登りドロップイン。パウダーに気持ちよくターンを決めていく、最高だ。


さていよいよ問題の北斜面である。慎重にコースを選ぶが、沢状の地形に出てしまった。しかも無木立の急斜面ときている。数メートルトラバースすれば岳樺の林に入れるという誘惑に負けゆっくりと進入。ところが、というかやっぱり「バスッ!!」と音がした。山側、腰あたりの高さに亀裂が入っていくのが見え、周辺の雪面がゆっくり動き出した。低く身構えると、古い堅雪にエッジがうまくかかりその場に留まることが出来た。雪崩は裾野を広げながらはるか下まで落ちていった。表層の雪が落ちると快適な斜面が現れた。そこを滑っていくと、末端にはデブリが堆積している。巻き込まれなくて良かった。

※写真上部の段差が破断面


登りでつけた自分のトレースを辿り、蝶沢を横断すると精神的に楽になった。標高が下がっていくとしだいに板が滑らなくなりNOTwaxを塗布。1916mピークから沢に入り、木の間隔が狭いが積極的にターンを入れていく。まだ滑れないことはないが、早めにトレランシューズに履き替えた。


三俣についてヤレヤレ小休止。ここからMTBで快適に下っていくという訳にはいかない、登りがあったりして結構がんばって漕がなければならないのだ。


反省すべき点はあるが、無事下山出来たのだ良しとしよう。帰路、夕暮の蝶・常念にカメラを向けてみた。

アニ 記