割谷山(2224m) 奥飛だ温泉郷中尾
メンバー アニ
06:59 中尾
11:50 1960m付近 弱層テスト
14:56 割谷山
15:33 ドロップイン
16:42 中尾
遅い出発になった。例によって目覚ましが不調で鳴らなかった、のだと思う。除雪終了地点まで車が入れたので、すぐにスキーで歩き始める。トレースらしきものはない。焼岳の登山道と別れ、九十九折の林道をたどりしばらくした所から目的の尾根に取り付いた。くるぶし程度のラッセルで雪は軽めだ。登山道ではないので藪を心配していたが、所々に赤ペンキや境界見出標があり多少人の手が入っているようだ。
急な斜面も出てきてラッセルもきつくなってくる。昼近くになり先を急ぎたい焦りもあったが、1960m付近で弱層テストを実施することにした。深く潜るとシールが利かない層がありどうしても気になった。積雪は70cm程で、案の定中間層にまったく密着しない、さらさらの粉雪の体積が確認できた。腰を入れて引くとあっさりずれた。樹林帯の中なので大規模に雪崩れるとは考えにくいが、沢状の地形では注意しなければならない。
とりあえず先に進むことにするが更に傾斜は増し、ほとんど角度のない斜登高でノロノロと雪面を横切っているプレッシャーに耐えられず、ツボ足で直登することに決め板を外すと腰まで埋まってしまった。前進しようともがいていると胸までもぐる始末、こういうのは実に久しぶりだ。改めてスキーの機動力に感心する。再びスキーで歩き始めるが相変わらずラッセルは続き、思うようには進めず時間ばかり過ぎていく。輝山より楽だろうなどと思っていたのがいけなかった。もっと早く出発するべきだった。泣き言を言ってもはじまらない、何時になっても山頂を踏むと腹を決めると少し気が楽になった。
東側に見える稜線はこちらの尾根よりも低い、その向こうには霞沢岳が勇ましい。もう山頂までの標高差はほとんど無いはずだ。やがて目指す山頂が木々の間から見えた。直下に板をデポして急いで山頂を往復してくる。てっきり樹林帯の中にあると思っていたが、トンガっていて中々立派な山頂だった。(念のためGPSで山頂であることを確認)屋根に雪の積もった帝国ホテルがミニチュア模型のように見える。いつか泊まってやるぜ。
板を回収、しばらくトラバースのためシールをつけたままトレースをたどる。2200mの小ピークを巻いた所で滑降準備をする。フローズンおにぎりを白湯で流し込む、何て美味しいのだろう。しかし、もしこんなものを下界で出されたら、ちゃぶ台をひっくり返すはずだ。山は色々な物事を鈍くも鋭くもしてくれる非日常の世界だ。
尾根を外さないことと雪崩に注意しつつ滑降開始。斜滑降を多用しながら、開けたパウダー斜面でターンを決めていく。豪快な滑りは出来ないがそれなりに楽しめる。何と言っても苦労の末登頂できた達成感がすべてをOKにしてくれる。
最後の最後までほとんど展望もなく、山頂の姿を見ることができないけれど、そこがたまらなくもある。“山スキーは登山だ!”と、お思いの向きにはおすすめ出来るルートです。
アニ 記